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KOMAINU ―Guardian Beasts− (2019-)

Kenji Yanobe [ KOMAINU ―Guardian Beasts− ] (4'51) 2019
Video: Kenji Aoki

KOMAINU

狛犬は、古代オリエントから中国や朝鮮半島を経て日本に伝播し、もともと仏や神を守る獅子として表されてきた。日本において、向かって右側に口を開けた獅子、左側に角があり口を閉じた狛犬が向い合せに置かれ、「阿吽」が対となった。平安時代、宮中の清涼殿に魔除けとして置かれたのがはじまりの一つとされる。
 狛犬が何を表しているか諸説あるが、狛犬にせよ、獅子にせよ、日本では龍や虎のように見たことがない想像上の動物=霊獣であり、仏や神、人々を守る守護獣であったことは間違いない。それは、人々の願いや祈り、想像と創造によって誕生し、育まれてきた根源的な美術作品でもある。

比叡山延暦寺は平安京を見守るように創建され、長く日本の精神文化を育んできた。本作《KOMAINU―Guardian Beasts-》は、比叡山延暦寺に奉納展示するにあたり、その精神文化を育みながら、世界の人々や環境を守る守護獣として制作された。
 特に、西塔エリアにある常行堂は阿弥陀如来を祀り、法華堂は普賢菩薩を祀っているが、同じ形の二つのお堂が渡り廊下でつながっており、「にない堂」として対をなす修行の場である。本作も対をなす守護獣として、祈りを込めて作られている。

KOMAINU
KOMAINU

With a prayer for “Eradication of the plague!” |「疫病退散!」祈りを込めて

KOMAINU

《KOMAINU―Guardian Beasts-》は、現在の地球環境の悪化、人類の分断や対立、国際紛争などから世界を守るための守護獣として、ヤノベケンジが京都芸術大学(旧名称 京都造形芸術大学)の学生10名と共に、比叡山延暦寺 西塔の「にない堂」に奉納展示(*)するために制作した作品である。比叡山延暦寺は、平安神宮の大鳥居の前に設置する狛犬として構想され、鎮護国家の道場であり、「日本仏教の母山」と称される。*2019年11月2日-4日の3日間、一隅を照らす運動発足50周年記念イベント「照隅祭」に合わせて、本作は「にない堂」(常行堂、法華堂)の前に奉納展示された。

2020年新型コロナウイルスが猛威をふるう中、比叡山延暦寺から降り立ち、世界の安寧を守る守護獣として、本作は3月21日より瓜生山に再びその姿を見せている。展示場所は京都芸術大学・瓜生山キャンパスの大階段を上がった先にあるピロティ。芸術の力でより良い社会の実現を目指し「藝術立国」を建学の理念に掲げる同大学は、本作が制作された工房・ウルトラファクトリーの拠点でもある。
 創造する喜びをもち、地球上の出来事を鋭く見つめ、相次ぐ風水害、世界的な疫病の蔓延から人々を守り、そして心に希望の明かりを照らす願いとメッセージがこの展示には込められている。

(注) 2020年4月現在、京都芸術大学・瓜生山キャンパスは感染症対策のため学生や一般の方の入構が制限されています。展示をご覧いただく際には、大階段のゲート外側からや白川通りから安全にお願いします。

KOMAINU
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Media:
「延暦寺に巨大狛犬と大提灯-カルチャーイベント「照隅祭」で奉納展示」『瓜生通信』NEWS, 2019.10.30
「延暦寺に巨大こま犬現る きょうから照隅祭 ヤノベさん×学生制作/京都」『毎日新聞』京都府地方版, 2019.11.02「延暦寺に「守護獣」 美術作家ヤノベケンジさんと京都造形芸大生」『京都新聞』地域, 2019.11.04
「延暦寺を照らす、芸術の灯 - 京都造形芸術大学発 狛犬と提灯を奉納展示」『瓜生通信』SPECIAL TOPIC, 2019.11.11
「安寧守る「狛犬」ー 比叡山延暦寺より降り立つ守護獣たち」『瓜生通信』SPECIAL TOPIC, 2020.03.22
「疫病の蔓延から人々を守る。京都造形芸術大学にヤノベケンジの狛犬が登場」『美術手帖』NEWS / HEADLINE, 2020.03.25

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Courtesy of Hieizan Enryakuji, Kyoto University of Arts and ULTRA Factory
Photo: Nobutada Omote and KYAP